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企業統治 : コンプライアンス&リスクマネジメント

CSRリポート2009より

三井物産は、信用こそがビジネスの基本であり、信用を守る必要条件がコンプライアンスであると考えます。
三井物産グループが真に社会から信頼される企業グループであり続けるために、社員一人ひとりにコンプライアンス意識を徹底するとともに、グローバル・グループベースでのコンプライアンス経営の推進に取り組んでいます。

コンプライアンス経営のさらなる推進

三井物産役職員行動規範

三井物産役職員行動規範は、法令遵守と企業倫理の観点から企業としての社会的責任を果たし、ステークホルダーの信頼を得るために社員一人ひとりが日常の業務や活動においてどう行動すべきかについて規範として具体的に定めたもので、2001年2月に制定して以来、時代の変化に合わせて改訂を重ねてきました。研修やeラーニングにより全社員にその内容の周知を図るとともに、一人ひとりの社員が規範を遵守する旨を約束する誓約を行っています。グループ会社においても、それぞれの事業形態に合わせて、「三井物産役職員行動規範」を基に、各社個別の行動規範を制定・導入しています。また、海外では、それぞれの国の法令や慣習などを反映した地域ごとの行動規範を設けています。

三井物産役職員行動規範
  1. 法令の遵守及び人権の尊重
  2. 職場環境及びセクシャルハラスメント
  3. 独占禁止法等の遵守
  4. 利益相反行為及び公私のけじめ
  5. 贈答・接待
  6. 情報の取扱い
  7. 輸出入手続・各種業法の遵守
  8. 会社資金と会計報告
  9. 献金・寄付等
  10. 社会貢献
  11. 環境保全
  12. 反社会的勢力への対応
三井物産役職員行動規範



その他、経営理念、報告・相談方法、コンプライアンス体制図、国連グローバルコンパクト、CSR基本方針、環境方針、社会貢献活動方針を掲載


コンプライアンス体制

チーフ・コンプライアンス・オフィサー(コンプライアンス担当役員)の指揮・監督の下、コンプライアンス・プログラム統括部署である法務部コンプライアンス室が中心となって、各本部に任命されたコンプライアンス・オフィサー、ならびに海外3地域本部(米州、欧州・中東・アフリカ、アジア・大洋州)に配置された地域チーフ・コンプライアンス・オフィサーと連携しながら、グローバル・グループベースでコンプライアンス意識の徹底、コンプライアンス・プログラムの整備・強化、コンプライアンス関連案件への対応を行っています。
また、コンプライアンス関連全般についての協議を行う場として、コンプライアンス委員会・連絡会を設置し、社外弁護士の参加の下、当社グループにおけるさまざまな課題について話し合い、その内容についてはイントラネットに公開しています。

コンプライアンス体制(2009年4月現在)
コンプライアンス担当責任者は各部あるいは各店に最低1名以上を指名。
国内支社・支店の各組織におけるコンプライアンスの管理は、営業組織においては営業本部のライン、支社・支店のスタッフ部署およびコーポレートスタッフ部門管下組織においては支社・支店長もしくはコーポレートスタッフ部門各部長のラインで適正に行う。

コミュニケーションの円滑化と内部通報制度の整備

コンプライアンスの本質は、経営理念や価値観を反映した風通しの良い職場環境をつくり、円滑なコミュニケーションを通じて問題の発生を未然に防止することにあると考えます。一方、万が一問題が発生した場合は、直ちに上司または関係者に報告・相談し、迅速に適切な処置を施す必要があります。
コンプライアンスに関する職制ラインおよび職制外の報告・相談ルートとして、社外弁護士や第三者機関(匿名可)も含めた8つのルートを設置しています。また、内部通報制度規程を整備して、報告・相談により個人が不利益を受けることのないことを明確にしています。国内グループ会社については、当社が指定した社外弁護士および第三者機関を各社の社外報告・相談受付窓口として使えるようにするとともに、内部通報制度の適切な設置・運営に関する指導を行うことを通じ、グループ会社の問題を安心して報告・相談できる仕組みを整備しています。さらに、海外拠点、ならびに海外グループ会社についても、各地域チーフ・コンプライアンス・オフィサーが中心となり、現地の法令や特性を考慮しつつ報告・相談ルートの整備を進めています。

コンプライアンス教育・研修

社員のコンプライアンス意識のさらなる徹底とコンプライアンス実践に必要な知識・情報の周知を図るため、当社では各種のコンプライアンス教育・研修を実施しています。
2008年度は、新入社員向け・担当職向け・業務職向け・管理職向けといった職層ごとのコンプライアンス研修、海外赴任やグループ会社出向を前にした社員を対象とした研修、国内外の重要法令についての説明会などを実施しました。グループ会社役職員向けのコンプライアンス研修にも積極的に取り組んでいます。また、三井物産国内勤務者はコンプライアンスeラーニングの受講が義務づけられており、その内容についてはいつでもイントラネットで復習できるようにしています。
一方、海外拠点・海外グループ会社でも、それぞれの地域性を踏まえたコンプライアンス教育・研修が実施されています。

コンプライアンス意識調査

役職員のコンプライアンス意識の浸透を評価するために、年に1度アンケート調査を実施し、その結果をさまざまな施策立案・実行に役立てています。
2008年度は、国内グループ会社147社も対象に含めて、調査を実施しました。三井物産単体では88.3%、グループ会社については、93.1%の回答率を得ました。三井物産単体については、「職場の風通し」、「ジレンマに陥る事象の有無」、「コンプライアンス違反を見逃さない」、「経営理念の共有」、「業務において結果だけでなくコンプライアンスも重視されている」などの設問について肯定的回答が大半を占め、コンプライアンスの定着がアンケート結果から読み取れます。グループ会社についても、「コンプライアンス徹底のため、組織が機能する体制」、「前回アンケート結果のフィード・バック」、「コンプライアンスに関する研修・勉強会への出席」などの設問について前回(2007年度)と比較して改善が進んでいます。
また、海外拠点においてもコンプライアンス意識調査の導入が進められています。

その他の取り組み

その他にも、国内関係会社コンプライアンス担当者勉強会を開催し、少人数グループによるワークショップ形式による学習と情報交換を通じ、各社における自主自律的なコンプライアンス・プログラムの整備・運用を担う担当者の実務知識やスキルのレベルアップを図りました。また、チーフ・コンプライアンス・オフィサーと国内グループ会社社長によるコンプライアンス会議といった取り組みを継続し、現場との目線合わせと課題の共有を行いました。さらに、2009年度は、グループ会社における自律的なコンプライアンス・プログラムの整備・運用を支援する取り組みを継続し、グループ全体でのコンプライアンスのより一層の深化を目指しています。

個人情報保護対応について

個人情報保護管理体制は、CPO(チーフ・プライバシー・オフィサー、代表取締役専務)の基にCPO事務局を設置し、当社の「個人情報保護方針」「個人情報保護規程」を踏まえています。全役職員への周知徹底や日常業務における個人情報保護に関する問い合わせ対応をはじめとして、さまざまな課題に取り組んでいます。
当社および当社関係会社はいろいろな商品を取り扱っており、とりわけB to C(Business to Consumer)と称される消費財の事業分野を中心に、個人情報の取り扱いも多く、その保護、管理に細心の注意を払っています。情報漏洩発生時対策本部を設置して事故対応に備えるとともに、情報漏洩事故を惹き起こさないために全国の各部署に「個人情報管理担当者」を置き、管理状況をチェックしています。
さらに、情報セキュリティ確保の観点から社員証のICカード化による入退館管理システムの導入、業務用パソコンのデータ漏洩防止策などを実施しています。また、関係会社を含めた連結管理体制強化のために、関係会社の情報セキュリティの強化や、教育・研修の支援にも努めています。

「安全・安心」への対応

消費者の安全・安心を担保するために、消費者庁が設置され、消費者の生活に関係の深い法令を所管することとなりました。これら法令の求めるところの究極は、消費者に安全・安心を提供することであり、安全と安心は事業推進の大前提であると認識しています。
消費生活用製品について、「消費生活用製品取扱方針」および「消費生活用製品取扱規程」を定め、さらに営業本部ごとの細則を作り消費生活用製品を取り扱っています。
また、食料については、先進国の中では食料自給率が最低と言われるわが国の食料の確保に努めておりますが、食料・リテール本部では、内規および安全管理基準を制定し、データベースを構築して、海外における生産の段階にも目を配り、最優先事項である食品の安全・安心の確保に取り組んでいます。
消費生活用製品および食料以外の品目についても同様に、当社は安全と安心を最優先する姿勢で臨んでいます。

【消費生活用製品取扱方針】

消費者の重視並びに製品安全確保の重視

当社は、消費生活用製品を製造、輸入、或いは国内販売するに当たり、高性能製品や低廉な製品を製造、輸入、或いは販売することを追求するだけではなく、消費者の立場を重視し、安心して消費者が使用できる安全な製品を取扱うことを優先事項として位置づけます。又、この方針は、当社が掲げる経営理念(Mission, Vision, Values)にも合致するものであり、当社が推進する「良い仕事」に繋がるものでもあります。

管理体制の整備・運用

当社は、本方針に沿った運用を実施すべく、適切なリスク管理体制を整備し、製品事故発生時の情報収集・伝達・開示体制、製品回収の体制の維持・向上に努めてまいります。

当社において発生した不適切な取引および再発防止策

2008年7月、九州支社の営業部署において、地元の取引先向け農業資材などについて、一部架空取引を含む不適切な循環取引に関与していたことが判明しました。また、20 09年4月、機能化学品本部の営業部署において、売買の実体のない取引をインドネシア他東南アジア向け輸出貿易取引として行っていたことが判明しました。
当社は、コンプライアンスの徹底に取り組んできていますが、これら不適切な取引が発生したことを受け、いまだに当社の取り組みが十分でないことを重く受け止め、今後の再発防止策に向けて、営業現場での管理の再徹底、業務プロセス上のコントロール強化および人材流動化の促進などの施策を着実に実行していきます。

CSR関連リスクマネジメント

経済のグローバル化、情報化、および企業の社会的責任に対する意識の高まりなどにより、企業のビジネスチャンスとリスクはますます多様化し増大しています。この状況を踏まえ、当社では、社会情勢やビジネスモデルの変化に的確に対応し、定量および定性の双方から総合的にリスクを管理するため、環境・社会・ガバナンスなどに関連する定性リスクの高い4つの事業領域を「特定事業」と定め、「特定事業管理制度」に則り慎重な事業推進を図っています。具体的には、新規に開始する案件につき社内審査を行い、必要に応じて「CSR推進委員会」や、社外有識者から成る「環境諮問委員会」や「メディカル・ヘルスケア・バイオ倫理委員会」より、案件の推進可否と良質化に関する答申を受け、最終的に代表取締役による稟議決裁をもって推進可否を決定しています。
2008年度は、140件の個別案件について「特定事業」に該当するか否かの判定を行い、その結果該当と判定された48件の案件について、同制度に則り個別に社内の審査を行いました。内訳は、「環境関連事業」が12案件、「R&D型製造業」が6案件、「公共性の高い事業」が30案件で、「バイオ倫理関連事業」に該当する案件はありませんでした。
また、公共性が高く、プロセスの透明性が求められるODA商内については、「ODA商内管理制度」に基づき必要なリスク管理を行っています。

特定事業管理制度対象の4つの事業領域

  事業領域 審査のポイント
  4事業共通
  • 事業そのものの意義、社会的価値
  • 当社がその事業を行うことの意義
1 環境関連事業
環境に密接に関与する商品を第三者への製造委託を含めて製造・販売する事業および環境を事業目的にする事業全般

【例】CDM事業(クリーン開発メカニズム事業)、バイオマス利用事業、リサイクル事業、排水処理事業など

  • 当該事業による環境および社会への貢献
  • 付帯する環境負荷への対応策、安全の確保
  • 開発事業の場合、現地住民をはじめとする関係者への配慮と理解の取り付け
  • 環境法令・指針との整合性 など
2 R&D型製造業
新技術・新事業の開発を伴うR&D型事業で、第三者への製造委託を含めた商品の製造・販売を行う事業全般

【例】医療機器の開発・製造など

  • 技術の実現性の審査
  • 性能・品質保証の管理体制確認 など
3 バイオ倫理関連事業
ヒトゲノム・遺伝子解析・遺伝子組み換えなどに関する技術開発、またはこれらの技術を利用した商品に関する事業

【例】遺伝子解析技術を応用した新薬開発など

  • 三省指針(ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針;文科省・厚労省・経産省)に基づく倫理審査
  • 研究現場の倫理委員会での承認、インフォームドコンセントの取得など、プロセスの確認 など
4 公共性の高い事業
内外官公庁などから直接あるいは間接的に補助金を受けるなど公共性の高い事業および公序良俗・当社経営理念・その他CSR関連事項に抵触するリスクの高い案件

【例】補助金などの交付を受ける事業、パブリックビジネス(PFI、指定管理者制度、市場化テストなどに基づく事業)、地域独占性の高い事業(公共交通機関など)など

  • 当社経営理念に照らした評価
  • 社会への影響と説明責任、プロセスの透明性の確保
  • ステークホルダーの利害の把握、それに対する配慮、対応
  • 中長期にわたる公益性の高い事業の、事象者としての責任と対応能力