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ステークホルダーダイアログ (過去の実績ご紹介)

社会とともにダイバーシティの推進

当社は資本提携するサクセスアカデミーを通して保育事業を展開し、女性が働きやすい環境の整備に努めています。2007年9月25日に開催されたステークホルダーダイアログでは、保育事業に関連するステークホルダー5名が、当社の果たすべき役割などを議論しました。

(株)サクセスアカデミーの事業概要
本社・神奈川県藤沢市。89年設立。病院内保育室の運営 から事業を開始する。2005年4月には三井物産が30%出資。保育士750人を擁し、病院内保育室や認可保育園、保育所、学童保育など、首都圏を中心に100カ所の施設を運営している。中でも病院内保育室については国立・私立大学病院などで80カ所を運営し、業界ナンバーワンの実績を誇る。近年は直営の認可保育所や川崎市などにおける公設民営型の保育所の運営も手がけている。社会的な少子化対策の盛り上がりや看護師の待遇改善、アウトソーシング化の流れを背景に、ここ1、2年で急速に売上を伸ばしており、2007年度は18億円の売上を見込んでいる。

サクセスアカデミーが運営を委託されている川崎市立塚越保育園


司会
麗澤大学大学院
国際経済研究科 教授

長嶋 和人
川崎市健康福祉局
こども施策推進部 こども計画課 課長

金子 亮一
(株)サクセスアカデミー
取締役 経営企画室 室長

近藤 安徳
三井物産 サービス事業部
ヒューマンリソース事業室 室長

社会のダイバーシティ推進に向けて

氏 :  初めに、三井物産がサクセスアカデミーと資本提携を行った理由を教えてください。
近藤 :  当社サービス事業部は、2005年4月にサクセスアカデミーに30%出資し、社員を一人出向させています。資本提携の背景には、「ダイバーシティの推進」という大きなミッションがあります。当事業部ではこれまで、人材ビジネスや教育ビジネスを事業領域としてきました。人材派遣事業を通しては、ライフスタイルに合わせた多様な働き方を紹介し、人材紹介事業では、女性の社会進出を促進するために転職活動を支援しています。保育事業を展開するサクセスアカデミーへの出資と事業運営の支援も、こうした流れの一環で行いました。もちろん、保育事業にビジネスチャンスを見出したこともあります。
氏 :  サクセスアカデミーに保育園の運営を委託されている川崎市では、同社の事業をどう評価していますか。
長嶋 氏 :  2007年4月から、市内の塚越保育園で、サクセスアカデミーに指定管理者として運営を委託し、保護者と管理者、行政の三者で運営方針を議論しながら、新しい形の保育園運営を行っています。委託して感じたことは、園の雰囲気が非常に明るく、保育士さんがきびきびしていて、利用者への対応がいいということです。保護者も非常に協力的で、民営化した感想を聞いてみたところ、「思っていた以上に保育内容が素晴らしく、安心して子供を預けられる」という答えが返ってきました。企業は今後、保育分野における新しい大きな力になるだろうと期待しています。
氏 :  高い評価をいただいているようですが、サクセスアカデミーとして保育施設の運営にあたって留意されている点は何でしょうか。
金子 氏 :  法定を上回る人員配置を行うなど、十二分に気を使っています。ただ、毎日2,000人以上のお子さんをお預かりしているわけですから、事故が皆無ということはあり得ません。そこで、事故が起こった時の職員の対応について情報を集約する体制を備えるとともに、各保育所から上がってきた、事故につながる可能性のある「ヒヤリハット」事例※をデータベース化して共有し、現場支援に活用しています。

※ヒヤリハット事例:ヒヤリとしたり、ハッとするなど、事故寸前の危険な事例。

事業拡大に三井物産のリソースを活用

氏 :  この事業をスタートしたのは、まだ特定事業管理制度( P 22 参照)が導入される前ですね。仮に今からこういう事業を始めると想定した場合、CSR推進部はどんな点をチェックしますか?
山本
(CSR推進部長) : 
特定事業では、公共性が高い事業に参入したり補助金制度を使用する場合などに、事業のプロセスやその透明性をチェックします。また、子供の健康を含めた安全、安心への取り組みや、これが徹底されるような社員教育の実施など、さまざまなリスクへの対応状況も確認します。それから、当社としてどんな役割を果たせるかという点も審議することになります。
氏 :  三井物産はどんな役割を果たしているのですか。
近藤 :  サクセスアカデミーは病院内保育所を数多く手がけています。当社も多岐にわたる病院向けサービスを提供しているので、他のサービスとパッケージ化して営業活動を行うことで、お客様にさまざまな付加価値を提供できるようになったと思います。また、受託先の拡大にも貢献できたのではないかと自負しています。
金子 氏 :  出向社員の方に営業先を開拓していただいたり、営業部に取引先を紹介していただいたりして、業務がかなり拡大しました。デベロッパーやゼネコンと提携して新規物件への保育所設置の提案も行っていますが、こうした施設では、単に保育所をつくればいいというものではなく、企画提案能力も問われます。ここにも三井物産のリソースが生きています。

事業が拡大する中でサービスの質をどう維持するか

氏 :  今後、三井物産やサクセスアカデミーに期待することは何ですか。
長嶋 氏 :  川崎市は、2007年7月に「保育基本5カ年計画」を策定しました。認可保育所を整備し、駅の近くに小規模保育所を約1 0カ所設置するなどの施策により、2011年度までに保育の受け入れ枠を2,600人増やす計画です。小規模保育所については、運営者に対する規制枠を取り払い、幅広く応募を呼びかけていきたいと考えています。三井物産にも、小回りのきいた保育所の運営への参加や、企業内保育所の設置を通して就労支援に協力していただければありがたいです。
氏 :  三井物産、サクセスアカデミーの今後の抱負を聞かせてください。
金子 氏 :  今後、川崎市のように意欲的な施策を打ち出す自治体が増えてくるでしょう。当社でも、こうした自治体に積極的に協力していきたいと思っています。
近藤 :  サービス産業の担い手は「人」です。事業が急成長する中で、首都圏では保育士の確保が難しい状況にあり、保育士の育成から手がける必要があるかもしれません。2008年4月には当社内に託児所ができますが、この運営もサクセスアカデミーに委託する予定です。今後は、企業向け託児所の開設もサポートしていきたいと思っています。
山本 :  この事業は、まさしく当社が進めようとしているダイバーシティを社会的に広く推進することにつながり、「本業を通じたCSR」といえます。事業が拡大すると社会からの期待も大きくなりますから、ステークホルダーに対し積極的に情報開示をしていくことも大切でしょう。
氏 :  ダイバーシティという観点から高く評価できる「良い仕事」だと思います。課題は、需要が増える中で質の良いサービスをどうやって継続的に提供していくかです。スタッフ不足から質が低下することなどないよう、トレーニングにはさらに力を入れていただきたいと思います。